前置き
グローバル化の影響もあり、現代の日本語にはカタカナの言葉がどんどん混ざってきており、私達日本人は日常生活の中でそれぞれの言葉のルーツや本来の意味を知らないまま、いつの間にか日本語として使うようになってきています。
どのカタカナの言葉も、日本国内や日本人同士で使う場合は、お互いに理解できるため特に問題はないのですが、外国や外国人相手に英語だと勘違いして使うと、実は意味が全く通じないものがほとんどなのです。語句によっては、そもそも意味や使い方が全く違うもの、発音が違うものなどがあるため、それぞれの語句の本来の意味や英語での正しい使い方、正しい発音について知っておきたいですね。
今回は、『外来語』・『和製英語』・『カタカナ語』・『カタカナ英語』の意味と違いをまとめてみたので、よかったら参考にしてみてください。
※この記事では、いくつか例はあげていますが、それぞれのカタカナの言葉の一覧表は別のページにまとめています。
外来語・和製英語・カタカナ語・カタカナ英語の意味と違い
様々なカタカナの言葉がありますが、それらを簡単に分類すると、
諸外国から入ってきて日本語と同様に使っても違和感のない(むしろ日本語に馴染んでいる)『外来語』、
英語の語句をもとに「いかにも英語っぽい言葉」として日本が独自に作り出した『和製英語』、
基本的にカタカナ表記されているものすべてを含む『カタカナ語』があります。
また、英語を日本人が発音しやすいようにカタカナに置き換えたために、もともとの発音からかけ離れてしまった日本語訛りの英語の発音のことを『カタカナ英語』と言います。
それぞれの詳しい解説は、以下を参考にしてみてください。
『外来語』
『外来語』とは、文字通り、「外国から来た語」という意味です。
ちなみに、
他の言語から「借りて来た語」という意味で『借用語』、
他の国から「伝わって来た語」という意味で『伝来語』、
「西洋の語」という意味で(洋画・洋楽のように)『洋語』
とも呼ばれます。
諸外国から入ってきた後、日本語の一部として馴染み、今では日常的に使われている言葉のことを指します。
『外来語』は基本的にカタカナ表記されるものが多いのですが、中には日本語読みに書き換える際に当て字として漢字やひらがな表記されるものもあり、日常生活の中でまるでもともと日本語であったかのように使われているため、『外来語』だと気づかれにくいものも混ざっています。
〜漢字やひらがなで表記される『外来語』の例〜
・「合羽(カッパ)」:capa
・「おんぶ」:ombro
・「おてんば」:ontembaar
・「かるた」:carta
・「天ぷら」:tempero
・「ポン酢」:pons
etc.
『外来語』は、英語だけでなく、フランス語・ポルトガル語・ドイツ語・オランダ語など様々な諸外国の言語がもとになっています。
〜英語以外の言語がもとになっている『外来語』の例〜
〈フランス語〉
「ズボン」:jupon 「アラカルト」:à la carte
〈ドイツ語〉
「アルバイト」:arbeit 「リュックサック」:rucksack
〈オランダ語〉
「ランドセル」:ransel 「レトルト」:retort
〈ポルトガル語〉
「カステラ」:castella 「タバコ」:tabaco
正確には、中国から伝わってきた「漢字の単語」である『漢語』も『外来語』に含まれるのですが、一般的に『漢語』と『外来語』は区別されており、『外来語』は主に「欧米諸国から入ってきた語」のことを言います。
(※例外、『漢語』でも チャーハン・ワンタン などカタカナ表記されるものは『外来語』に含まれます。)
『和製英語』
『和製英語』とは、日本人による、日本人のために作られた、日本語でしか通じない、日本独自の言葉です。
ちなみに、英語以外の言語がもとになったものまで含めて言う場合は、『和製外来語』や『和製洋語』などと言います。
『和製英語』は、実際に存在する英語の語句を組み合わせて作られたものや英語の語句を文字ったもの、カタカナ表記されていることから「いかにも英語っぽい言葉」だと思ってしまうようなものがほとんどなので、多くの日本人が実際に海外で使われていると勘違いして、間違って使ってしまいがちな非常に紛らわしい言葉です。
〜海外で通じない『和製英語』の例 〜
コンセント、電子レンジ、OL、サラリーマン、フリーター、フリーサイズ、フリーマーケット、ガソリンスタンド、シャーペン、ホッチキス、ペットボトル、ビニール袋、段ボール、アメリカンドッグ、ショートケーキ、バイキング、カンニング、etc.
日本人だけが使う特有の略語
日本人は長い言葉を省略して使う傾向がありますが、これらの略語も和製英語と同様、日本国内や日本人同士では通じるものの、英語と勘違いして外国人相手に使っても通じないものがほとんどです。
〈例1〉television(テレビジョン)
◆英語 TeleVision → TV
◆日本語 テレビジョン → テレビ
❌televi(テレビ)では通じませんが、⭕️TV(ティーヴィー)と言えば通じます。
〈例2〉remote control(リモートコントロール)
◆英語 remote control → remote
◆日本語 リモートコントロール → リモコン
❌remocon(リモコン)では通じませんが、⭕️remote(リモート)と言えば通じます。
『カタカナ語』
『カタカナ語』とは、「漢字」でも「ひらがな」でもなく、文字通り、「カタカナ(片仮名)のみで表記される語」のことを言います。
もともとの語句がアルファベットなど横書きで表記されることから『横文字』とも言われます。
主に、『外来語』のことを指すのですが、『和製英語』や『日本人特有の略語』もカタカナで表記されるため全て含まれるということになります。
『カタカナ英語』
日本語は母音と子音の種類が少ないのと比べ、英語には日本語にはない発音がたくさんあるため、英語の発音すべてをカバーすることはできず、同じ発音を再現することはほぼ不可能なのです。
そこで、『外来語』などのもともとの英語の語句を、日本語読みにして(日本語の近い発音に書き換えて)カタカナ表記にしているのです。
例えば、よく知られているもので言うと、
◆英語の発音 L と R → 日本語では「ラ行」
(※日本語の「ラ行」は、英語の L と R の中間の音で、正確にはどちらにも当てはまりません。)
◆英語の発音 B と V → 日本語では「バ行」
(※ 最近では、B「ブ」、V「ヴ」と表記が分けられる場合もあります。)
◆英語の発音 S と TH → 日本語では「サ行」
カタカナ表記にして日本人にとって発音しやすくすることで、日本人同士で使う分には何の問題もないのですが、それぞれの語句のもともとの発音からかけ離れてしまい、外国人相手に通じなくなってしまっているのです。
つまり、『カタカナ英語』とは、日本人が話す「日本語訛りの英語の発音」ということです。
問題点としてあげられるのは、ほとんどの語句がカタカナに書き換えられる際に、スペルにできるだけ忠実にしたがって表記される傾向があるため、スペル重視の表記ではなく発音重視の表記に基準を変えた方が良いのではないかという声もあがってきています。(近年、実際に発音重視の表記にしたカタカナ英語も登場してきています。)
〈例1〉apple
「アップル」(スペル重視) → 「アッポー」(発音重視)
〈例2〉unbelievable
「アンビリーバブル」(スペル重視)→ 「アンビリーバボー」(発音重視)
❌スペル重視ではほぼ通じませんが、 ⭕️発音重視だと英語話者に断然通じやすいです。
スペル重視の表記は、スペルが想像しやすいため読み書きにおいて分かりやすい一方で、発音重視の表記は、もとの発音に近いためリスニング・スピーキングに役立つというメリットがあります。
お疲れ様でした!
こういった似ているものは違いがわからないとモヤモヤすると思いますが、それぞれの違いが分かるとスッキリしますね。
英語でコミュニケーションをとるときに気をつけたい点として、以下簡潔にまとめておきます。
『外来語』は、発音にさえ注意すればほとんどの場合通じますが、もとになっている言語がそもそも英語ではないものは、英語話者には基本的に通じないため、要注意です。
『和製英語』は、発音の問題ではなく、そもそも通じないものがほとんどなので、それぞれの語句の本来の意味や英語での正しい言い方を知っておく必要があります。
後日、それそれの一覧表を別の記事でまとめる予定ですので、興味のある方はそちらもぜひチェックしてみてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、また次回!